「あの一体感をつくりたい」——肩を組み、円になって寄り添う選手たちと、その一言だけ。長野県飯田市の社会人サッカーチーム「レザルプ」のリール〈憧れ〉は、計測時点で28,671回再生を記録した。シリーズ全14本の中で再生数2位。多くの回が5,000〜7,000回前後で推移するなか、なぜこの一本は突き抜けたのか。株式会社NARERUが運用する実データとともに解剖する。
物語の終盤に置かれた、〈憧れ〉という回
レザルプは長野県飯田市を拠点とする社会人サッカーチームで、SNS運用は株式会社NARERUが手がけている。0-6の大敗から始まり、メンバーを募り、初練習を重ね、挫折と覚悟をくぐってきた——リールはその過程を1本ずつ綴る、連続ドキュメンタリーとして設計されている。
〈憧れ〉は、その物語が積み重なった先に置かれた回だ。タイトルに重ねたのは、たった一言。「あの一体感をつくりたい」。これはチームが目指す姿であると同時に、見ている人自身の“こうなりたい”に重なる言葉でもあった。この一本が、シリーズ全14本で再生2位まで伸びる。
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説明をやめ、「画」と「一言」で掴んだ冒頭
冒頭に映るのは、円になって肩を組み、互いに寄り添う選手たちのうしろ姿と、画面いっぱいの2文字——「憧れ」。その下に小さく「あの一体感をつくりたい」。状況説明のテロップも、派手な演出もない。あるのは、緑のユニフォームが肩を寄せ合う一枚の画と、一行の言葉だけだ。
この設計の狙いは明確だ。サッカーの試合シーンで「競技」を語るのではなく、「あんな仲間が欲しい」「あの輪に入りたい」という誰の中にもある憧れを、最初の一枚で叩く。スクロールの指を止めるのは、プレーのうまさではなく、肩を組む輪が放つ“あたたかさ”と、「自分もここに居たい」と思わせる引力だった。
「憧れ」── あの一体感をつくりたい。
「あの一体感をつくりたい」は、サッカーをしない人にも刺さる。職場で孤独を感じる人、何かに本気で打ち込む仲間が欲しい人、あの頃の熱を取り戻したい人——全員が、肩を組む輪に自分を重ねられる。競技の動画を“居場所の動画”に変えたこと。それが、この回の伸びの起点になった。
- 冒頭の言葉は「狭いテーマ」より「広い感情」。誰もが自分を重ねられる一言を置く
- 説明より余白。情報を削り、見る人に“想像の余地”を渡す
- 飾らない現場感(肩を組む輪)が、リアリティと共感を底上げする
数字を読む ― 28,671回再生の中身
再生数だけでなく、その再生が「どんな行動を生んだか」を、シリーズ全体の中で読み解く。〈憧れ〉は再生で2位まで伸びた一方、深い反応には伸びしろを残した。
読み解くべきは、再生が大きく跳ねた一方で、保存・フォロー・コメントという「深い反応」が再生規模に追いついていない点だ。〈憧れ〉は“広く見られた”成功回。次は、その視聴を保存やフォローという行動に変える設計が課題になる。再生の山を、チームの資産へ確実に変えていく。
シリーズの中での位置 ― 14本を並べて見る
同じチーム、同じ運用、同じ連載の中で、〈憧れ〉はどこに立っているのか。再生数を並べると、この一本が“2番目の突き抜け”だったことが一目で分かる。
序盤〜中盤の多くの回は5,000〜7,000回前後で推移していた。そのなかで〈憧れ〉は28,671回。最高の〈肝心〉45,986回には届かないが、平均的な回の4〜5倍を取った“2番目の突き抜け”だ。テーマや見せ方の“当たり”一つで、同じアカウントでも数倍の差が出る。SNSが「平均」ではなく「最大瞬間風速の積み重ね」で伸びることを、この一本もまた裏づけている。
なぜ〈憧れ〉は突き抜けたのか
理由は2つに整理できる。1つはテーマの普遍性だ。「あの一体感をつくりたい」は、サッカーを知らない人にも届く。仲間・居場所・つながり——誰の心にもある“あんな輪に入りたい”という憧れに重なる。狭い競技テーマでは届く母数が限られるが、普遍的な感情に振った瞬間、自分ごと化できる人の数が一気に広がった。28,671回というシリーズ2位の再生は、この自分ごと化の強さの表れだ。
もう1つは冒頭の一枚の力だ。肩を組み、円になって寄り添う選手たちの画は、説明なしで“あたたかさ”と“本気”を同時に伝える。Instagramのリールは冒頭1〜2秒で離脱が決まる。〈憧れ〉は、その勝負どころに「言葉で説明する」のではなく「感情が伝わる画」を置いた。だからこそ多くの人がスクロールの指を止め、最後まで見た。広い感情をつかむ言葉と、それを裏づける一枚の画——この組み合わせが、平均の4〜5倍の再生を引き寄せた。
残った課題 ― 「見られた」を「動かす」に変える
28,671回の再生に対し、保存4・フォロー+12は伸びしろを残した。広く見られたが、「残したい」「追いたい」までは一歩届かなかった。共感の先に“次の一手”(保存したくなる一言、フォローしたくなる続きの予告)を設計する必要がある。
28,671回で集まった視聴を、一過性で終わらせない。次の回への継続視聴、仲間集めやスポンサーへの導線——この山を、チームの目標(応援・集客・採用)にどう接続するかが次の仕事だ。
この事例から学べること
- 狭いテーマより、広い感情。「仲間が欲しい」「あの輪に入りたい」のような誰もが自分を重ねられる一言が、母数を最大化する
- 冒頭は画と一言で掴む。説明を削り、感情が伝わる一枚で“自分ごと化”の想像を促す
- 再生の次は「深い反応」を取りにいく。保存・フォロー・コメントへの導線を設計し、見られたを動かすに変える
〈憧れ〉が示したのは、広い感情に振り切った一本は確かに伸びる、という事実だ。多くの回が5,000〜7,000回で推移する中、この一本は28,671回まで跳ね、シリーズ2位を取った。その差を生んだのは、競技ではなく“憧れ”という感情に振り切った設計だった。残る課題は、その再生を保存・フォローという行動へどう変えるか。成功と伸びしろが、同じ一本にくっきり表れている。
株式会社NARERUは、成果も課題も隠さず数字で読み、勝ち筋を次の設計図に変えていく。一本の伸びを、偶然で終わらせない。それが、SNS運用の本当の仕事だ。レザルプの物語は、まだ続く。