「温泉の秘密の時間、教えちゃいます」——湯気の立つ露天風呂の画と、その一言だけ。日帰り温泉施設「ほっ湯あっぷる」のリール〈秘密の時間〉は、計測時点で再生2,192回を記録した。派手な数字ではない。だが、ほっ湯あっぷるが発信してきたリール8本の中では、再生・フォローともに最高の一本だ。地域密着の温泉アカウントが、地に足のついた規模でどう“勝ち回”を作ったのか。株式会社NARERUが運用する実データとともに、正直に解剖する。
地域密着の温泉施設が、リールで何を伝えるか
「ほっ湯あっぷる」は、地域に根ざした日帰り温泉施設だ。全国区の観光地ではなく、近くに住む人が日常的に通う“地元の湯”。そのSNS運用を株式会社NARERUが手がけている。フォロワーも再生数も、何万人・何万回という派手なスケールではない。数百〜数千の単位で、地域の人にコツコツ届けていく——そういうアカウントだ。
だからこそ、運用では「盛らないこと」を大切にしている。バズを狙って施設の実態とかけ離れた演出をするより、温泉そのものの魅力を、ありのままに届ける。〈秘密の時間〉は、その方針の中で生まれた一本だ。営業時間内には見られない“静かな露天風呂”を見せる、という素直な企画が、結果としてほっ湯8本で最高の数字を記録した。
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“のぞき見たくなる”冒頭の作り方
冒頭に映るのは、湯気の立つ露天風呂。石積みの浴槽に温泉が満たされ、ふちには木の板、奥には石段。お客さんのいない、静かな水面に光が反射している。その上に白い文字で「温泉の秘密の時間 教えちゃいます」。画面下には「ほっ湯アップル」のロゴ。人は一人も映っていない。あるのは、湯気と石と、水のきらめきだけだ。
この設計の狙いは明確だ。「秘密」「教えちゃいます」という言葉と、普段は見られない無人の露天風呂を組み合わせて、「何が見られるんだろう」というのぞき見の心理を起こす。混んでいる温泉ではなく、誰もいない静かな湯。その“特別感”が、スクロールの指を止める引力になった。
「温泉の秘密の時間、教えちゃいます」
「秘密の時間」というフレーズは、温泉好きにも、近所の人にも刺さる。営業時間に通っているお客さんほど、「自分が知らない時間の温泉」を見たくなる。混雑を見せて魅力を語るのではなく、誰もいない一瞬を見せる。その引き算が、この回の伸びの起点になった。
- 「秘密」「いつもは見られない」など、好奇心を一言で立てる
- 混雑や賑わいより、静けさ・無人の特別感で“心地よさ”を見せる
- 施設の実態を盛らず、その場の魅力をありのまま切り取る
数字を読む ― 2,192回再生の中身
大きな数字ではない。だからこそ、ほっ湯あっぷるのリール8本という現実的なスケールの中で、この一本が何を達成したかを正直に読む。〈秘密の時間〉は、再生とフォローでシリーズ最高を記録した。
再生とフォローが最高だった一方で、保存・コメントはまだ小さい。「気持ちよく見られた」段階までは届いたが、「行きたい」「誰かに教えたい」という一歩深い行動には、もう少し設計の余地がある。小さなアカウントだからこそ、この一本の良かった点と課題を、次の回に正確に引き継ぐことが効いてくる。
ほっ湯8本の中での位置 ― 並べて見る
同じ施設、同じ運用の中で、〈秘密の時間〉がどれだけ突出したか。ほっ湯あっぷるのリール8本の再生数を並べると、その位置がはっきり分かる。
多くの回が600〜1,000回前後で推移する中、〈秘密の時間〉が2,192回。最低の〈自分へのご褒美〉590回と比べると約3.7倍だ。何万回という派手な数字ではないが、地域密着の温泉アカウントでは、これが現実的な“勝ち回”の姿。同じアカウントでも、企画と見せ方一つで2倍以上の差が出ることを、この一本が示している。
なぜ〈秘密の時間〉が一番伸びたのか
理由は2つに整理できる。1つは“のぞき見の心理”を突いたことだ。「秘密」「教えちゃいます」という言葉と、普段は見られない無人の露天風呂。この組み合わせが、「何が見られるんだろう」という好奇心を起こした。お客さんのいる賑わいではなく、誰もいない静かな湯——その特別感が、施設を知っている人にも知らない人にも“見たい”と思わせた。再生2,192回とフォロー+6という、ほっ湯8本で最高の数字は、この好奇心の強さの表れだ。
もう1つは「心地よさ」をそのまま見せたことだ。湯気、光の反射する水面、静けさ。温泉施設が本来持っている“気持ちよさ”を、盛らずにそのまま切り取った。だからこそ「行ってみたい」という素直な感情が生まれ、いいね64という肯定につながった。地域密着のアカウントでは、何万回のバズを狙うより、地元の人が「あ、行こうかな」と思う一本のほうが価値がある。〈秘密の時間〉は、その素直な勝ち方を体現した回だった。
残った課題 ― “見たい”を“行きたい”に変える
再生とフォローは8本で最高だが、保存2件・コメント0件はまだ伸びしろ。「気持ちよく見られた」までは届いた。次は「保存して、今度行こう」「家族に教えよう」という一歩深い行動を、テロップや問いかけで促す設計が要る。
2,192回の再生で集まった注目を、施設の集客に繋げる。営業時間・アクセス・おすすめの時間帯——「この静かな湯はいつ入れるのか」という問いに答える情報を添えれば、“見たい”が“行きたい”に変わる。ローカル施設のSNSは、最終的に来店で評価される。
この事例から学べること
- 好奇心を一言で立てる。「秘密」「いつもは見られない」が、近所の人ほど見たくなる引力になる
- 盛らず、心地よさをそのまま見せる。無人の静けさ・湯気・光——施設本来の魅力が一番効く
- “見たい”を“行きたい”に繋ぐ。再生の先に、来店・問い合わせへの導線を設計する
〈秘密の時間〉が示したのは、何万回のバズだけがSNSの成果ではないという事実だ。地域密着の温泉アカウントでは、2,192回という数字でも、8本の中で最高の“勝ち回”になる。多くの回が600〜1,000回で推移する中、企画と見せ方一つで2倍以上の差が出た。その差を生んだのは、派手な演出ではなく、“のぞき見たくなる静けさ”を素直に切り取った設計だった。
株式会社NARERUは、数字の大小にかかわらず、成果も課題も隠さず正直に読む。小さなアカウントには小さなアカウントの勝ち方がある。その一本ずつを丁寧に積み上げ、地域のお客さんを増やしていく。それが、ローカル施設のSNS運用の本当の仕事だ。