「ドキドキもワクワクも、大切に」——夜のグラウンドに立つ二人の選手と、その一言だけ。長野県飯田市の社会人サッカーチーム「レザルプ」のリール連載、その立ち上がりに置かれた一本〈初練習〉は、計測時点で14,925回再生を記録した。連載のごく序盤からこの数字、そしてフォローは+70人。これは全14本のうち、最高の〈肝心〉に次ぐ2位の獲得数だ。なぜ“まだ誰もチームを知らない序盤”で、これだけ人を集められたのか。株式会社NARERUが運用する実データとともに解剖する。
物語の入口に置かれた、〈初練習〉という回
レザルプは長野県飯田市を拠点とする社会人サッカーチームで、SNS運用は株式会社NARERUが手がけている。0-6の大敗から始まり、メンバーを募り、挫折と覚悟をくぐっていく——リールはその過程を1本ずつ綴る、連続ドキュメンタリーとして設計されている。
〈初練習〉は、その物語の最も早い段階に置かれた回だ。チームが集まり、初めてグラウンドで顔を合わせる夜。タイトルに重ねたのは「ドキドキもワクワクも、大切に」という一言だった。まだ実績も知名度もない“ゼロからの始動”の回が、連載序盤から14,925回まで伸び、+70人の新規フォロワーを連れてきた。立ち上がりとして、これは決して小さくない数字だ。
お悩みの方はお気軽にご相談ください
上手さではなく「始まりの空気」で掴んだ冒頭
冒頭に映るのは、夜のグラウンドに立つ二人の選手。オレンジと紺のチームウェアをまとい、葉の落ちた木立を背に、これから始まる練習を前にしている。画面いっぱいの白い2文字——「初練習」。その下に「ドキドキもワクワクも…大切に」。プレーの華やかさも、勝敗の緊張もない。あるのは、何かが始まる前の、あの独特の空気だけだ。
この設計の狙いは明確だ。連載のスタートで「強いチーム」を見せても、まだ誰も知らない以上は刺さりにくい。そこで打ち出したのは、「これから始まる」という誰もが経験したことのある高揚感だ。新しい職場の初日、新しい習いごとの一歩目——「ドキドキもワクワクも」は、サッカーをしない人の記憶にも触れる。掴んだのは技術ではなく、始まりの感情だった。
「初練習」── ドキドキもワクワクも、大切に。
「ドキドキもワクワクも、大切に」は、サッカーの外にも届く。何かを新しく始めるすべての人が、自分の“最初の一歩”を重ねられる。実績ゼロの序盤回でも14,925回まで伸びたのは、競技の動画を「始まりの動画」に変えたからだ。それが、この回が連載の入口として強く機能した理由になっている。
- 知名度ゼロの序盤は「強さ」より「共感」。誰もが経験した感情を冒頭に置く
- 説明より余白。情報を削り、見る人に“自分の最初”を想像させる
- 飾らない現場感(夜のグラウンド)が、リアリティと親しみを底上げする
数字を読む ― 14,925回再生の中身
再生数だけでなく、その再生が「どんな行動を生んだか」を、シリーズ全体の中で読み解く。〈初練習〉は、序盤の回でありながら“人を連れてくる力”が際立っていた。
注目すべきは、再生とフォローが同時に強かった点だ。再生は「見られた数」、フォローは「この先も見たいと思われた数」。序盤からこの2つが揃ったことは、連載のエンジンが最初からかかっていたことを意味する。一方で保存が7と低いのは、この回が“その場で味わう”性質だったため。深く残す価値をどう足すかが、次の宿題になる。
シリーズの中での位置 ― 14本を並べて見る
同じチーム、同じ運用、同じ連載の中で、〈初練習〉はどこに位置するのか。再生数を並べると、「序盤の一本」としては明確に上位だったことが分かる。
突出した〈肝心〉45,986回・〈憧れ〉28,671回には及ばないが、〈初練習〉14,925回は、5,000〜7,000回で推移する多くの回の約2倍。しかもこれを“まだ誰もチームを知らない序盤”で達成している。後半の伸びは積み上がった文脈に支えられるが、〈初練習〉は文脈ゼロからこの数字を出した。立ち上がりの強さは、連載全体の土台になる。
なぜ〈初練習〉は序盤から人を集められたのか
理由は2つに整理できる。1つは感情の普遍性だ。「ドキドキもワクワクも、大切に」は、サッカーを知らない人にも届く。新しいことを始める時の、あの胸の高鳴り——誰の記憶にもある“最初の一歩”に重なる。実績や強さでは序盤の母数を広げられないが、誰もが知る感情に振った瞬間、自分ごと化できる人の数が一気に増えた。フォロー+70という獲得力は、この共感の強さの表れだ。
もう1つは“続きを見たくなる”入口設計だ。〈初練習〉は完結する一本ではなく、明らかに「ここから物語が始まる」という回として作られている。だからこそ、見た人の一定数が「この先どうなるのか」を追うためにフォローした。再生で広く届き、フォローで関係を結ぶ——この2段構えが、連載のエンジンを序盤から回した。突出した爆発こそ後の〈肝心〉に譲るが、その爆発を支える“ファンの土台”は、こうした序盤回が一人ずつ積み上げている。
残った課題 ― 立ち上がりの勢いを“積み上げ”に変える
再生14,925回・フォロー+70に対し、保存は7件にとどまった。始まりの空気は心地よく流れていくが、「後で見返したい」と思わせる引っかかりは弱い。次の回では、見た人が手元に残したくなる一言や情報を一つ仕込む余地がある。
序盤で得た+70人のフォロワーは、チームの最初の応援団だ。この人たちが2本目、3本目を見続ける流れを作れるかが、連載が伸び続けるかの分岐点になる。入口の強さを、離脱させずに次の回へ渡す導線が次の仕事だ。
この事例から学べること
- 知名度ゼロの序盤は、強さより共感。「始まりの高揚感」のような誰もが知る感情が、文脈のない序盤でも母数を広げる
- 冒頭は言葉だけで掴む。説明を削り、余白で見る人に“自分の最初の一歩”を想像させる
- 再生だけでなくフォローを取りにいく。「続きを見たい」と思わせる入口設計が、連載のエンジンを序盤から回す
〈初練習〉が示したのは、SNSの連載は“最初の一本”で土台が決まるという事実だ。多くの回が5,000〜7,000回で推移する中、まだ誰もチームを知らない序盤から14,925回・+70人を集めた。その差を生んだのは、実績ではなく“始まりの感情”に振り切った設計だった。
株式会社NARERUは、成果も課題も隠さず数字で読み、勝ち筋を次の設計図に変えていく。後の爆発を支えるのは、こうした序盤の地道な積み上げだ。レザルプの物語は、ここから始まる。