秦アキラ
秦アキラ
株式会社NARERU 代表取締役

南信州・飯田市で生まれ育ち、地域の中小企業のAI活用・SNS運用・Web集客を支援。「地域の事業者を、テクノロジーでもっと自由に。」をミッションに、株式会社NARERUを経営しています。

観客席が教えてくれたこと」——緑のユニフォームでピッチに立つ選手たちと、画面いっぱいの「証明」の2文字。長野県飯田市の社会人サッカーチーム「レザルプ」のリール〈証明〉は、計測時点で14,643回再生・いいね194を記録した。いいねはシリーズ全話でトップ級。再生数の派手さよりも、「共感の濃さ」で記憶に残った一本だ。再生だけを追わない運用とは何か——株式会社NARERUが運用する実データとともに解剖する。

3行でわかる、この回のまとめ
🎯
狙い|勝ち負けの結果ではなく、「観客席が教えてくれたこと」という視点で“応援される側の気持ち”を描く。見る人の感情を動かす回。
📊
結果|再生14,643回・いいね194(全話トップ級)・フォロー+29・保存5・コメント4。再生は中位だが、いいね率=共感の濃さは随一。
🔍
課題と次の一手|「共感」は取れたが「保存・拡散」が薄い。心を動かした熱を、保存やシェアまで運ぶ設計が次の宿題だ。
秦アキラ
AUTHOR
秦 アキラ / 代表取締役・株式会社NARERU

BACKGROUND

物語の終盤に置かれた、〈証明〉という回

レザルプは長野県飯田市を拠点とする社会人サッカーチームで、SNS運用は株式会社NARERUが手がけている。0-6の大敗から始まり、メンバーを募り、初練習・挫折・覚悟をくぐり、勝利や憧れの回を経てきた——リールはその過程を1本ずつ綴る、連続ドキュメンタリーとして設計されている。

〈証明〉は、その物語の終盤に置かれた回だ。タイトルに重ねたのは「観客席が教えてくれたこと」。試合の勝敗そのものではなく、応援してくれる人がいるという事実に向き合う回として設計された。再生数では中位だが、いいね194はシリーズ全14本でトップ級。数字の大きさではなく、共感の濃さで残った一本だ。


HOOK DESIGN

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勝敗ではなく「視点」で掴んだ冒頭

冒頭に映るのは、緑のユニフォームでピッチに立つ選手たちのうしろ姿と、画面左に置かれた大きな2文字——「証明」。その下に小さく「観客席が教えてくれたこと」。背景には飯田の山並みが広がり、土と緑のグラウンドが現場のリアルを伝える。状況説明のテロップも派手な演出もなく、あるのは試合の緊張感と、一行の言葉だけだ。

この設計の狙いは明確だ。「試合に勝った/負けた」という結果ではなく、「観客席が教えてくれた」という視点の転換で感情を動かす。プレーのうまさを見せるのではなく、「応援される側にも、見ている人がいる」という気づきを冒頭の一言に込めた。スクロールの指を止めるのは、技術ではなく“視点の意外性”だった。

「証明」── 観客席が教えてくれたこと。

2文字の見出し一瞬で世界観
観客席の視点感情に効く転換
飯田の山並み飾らない現場感

「観客席が教えてくれたこと」は、勝負の世界に身を置く人だけでなく、誰かを応援したことのある人・誰かに支えられた人にも刺さる。サッカーの動画を“応援とは何かを問う動画”に変えたこと。それが、いいね194という共感の濃さを生んだ起点になった。

“共感”でフックを立てる原則
  • 結果(勝敗)より「視点」。意外な切り口の一言が、見る人の感情を動かす
  • 説明より余白。情報を削り、見る人に“想像の余地”を渡す
  • 飾らない現場感(山並み・土のグラウンド)が、リアリティと共感を底上げする
レザルプ〈証明〉冒頭カット
冒頭カット。緑のユニフォームでピッチに立つ選手たちと、「証明 ― 観客席が教えてくれたこと」の一言。

DATA ANALYSIS

数字を読む ― 14,643回再生の中身

再生数だけでなく、その再生が「どんな感情を生んだか」を、シリーズ全体の中で読み解く。〈証明〉は、再生では中位ながら、いいねという“共感の指標”で全話トップ級だった。

194件
いいね(全14本でトップ級)
再生数が同程度の他の回と比べても、いいねの多さが際立つ。「見て終わり」ではなく「いいねを押したくなる」感情の動きが、全話の中で随一だった。
14,643回
再生数(シリーズ4位グループ・15k級)
初練習14,925回・挫折15,468回と並ぶ15,000回前後の上位グループ。多くの回が5,000〜7,000回で推移する中、上位の山を作った一本だ。
+29人
この動画経由の新規フォロー
共感は取れた一方で、「この先を見たい」というフォローへの転換は控えめ。心を動かす力と、フォローを促す導線は別物だと分かる数字だ。
5 / 4
保存 / コメント
保存5・コメント4。いいね194に対して保存・コメントは控えめで、「共感はしたが、残す・語るまでは至らなかった」傾向が読み取れる。

注目すべきは、再生もいいねも高い一方で、保存・コメント・フォローという「次の行動」は控えめだった点だ。つまりこの回は、瞬間的な共感(いいね)を強く取れたが、その熱を“保存・拡散・フォロー”という深い行動まで運びきれなかった。共感の入口は作れた——その先の設計が、次の課題になる。


COMPARISON

シリーズの中での位置 ― 14本を並べて見る

同じチーム、同じ運用、同じ連載の中で、〈証明〉はどの位置にいたのか。再生数を並べると、上位グループに食い込んでいることが分かる。

再生数の比較(レザルプ・リール/計測 6/24時点)
肝心 45,986
憧れ 28,671
証明 14,643
多くの回 約5,000〜7,000

〈証明〉の14,643回は、初練習14,925回・挫折15,468回・覚悟15,438回と並ぶ15k級の上位グループ。突き抜けた〈肝心〉45,986回・〈憧れ〉28,671回には届かないが、多くの回(5,000〜7,000回)の倍以上を稼いだ。そして特筆すべきは、再生では肝心・憧れに及ばないのに、いいね194は全話トップ級だったこと。再生規模と“共感の濃さ”は必ずしも比例しない——それを示す一本だ。


WHY

なぜ〈証明〉は“共感の濃さ”で残ったのか

理由は2つに整理できる。1つはテーマの感情設計だ。「観客席が教えてくれたこと」は、勝敗という結果から一歩引いて、“応援してくれる存在”に光を当てる。誰かを応援した経験・誰かに支えられた経験は、見る人の多くが持っている。だからこそ「分かる」という共感が深く、いいね194という反応に結びついた。狭い競技テーマではなく、応援という普遍的な感情に振ったことが効いた。

もう1つはいいねと保存・フォローは別の行動だという事実だ。いいねは「共感したら反射的に押せる」軽い行動だが、保存は「後で見返したい」、フォローは「この先も追いたい」という、もう一段重い意思を必要とする。〈証明〉はいいね=瞬間の共感を強く取れたが、保存5・フォロー+29と次の行動は控えめだった。心を動かすことと、行動を促すことは、設計上は分けて考える必要がある——この回はそれを数字で教えてくれた。


ISSUES

残った課題 ― 共感を“行動”まで運ぶ

いいね194の熱を、保存・拡散まで運べなかったこと。
共感は全話トップ級に取れたのに、保存は5、コメントは4にとどまった。心を動かした人に「残しておきたい」「誰かに教えたい」と思わせる仕掛け——保存を促す一言や、語りたくなる問いかけ——を、内容に組み込む余地がある。
共感を、フォロー=継続視聴へつなげること。
14,643回見られて+29人のフォロー。共感はしてもらえたが、「この先も追いたい」までは届ききっていない。連載の“続きが気になる”引き、プロフィールへの導線を強化し、一度心を動かした人をチームのファンに変える設計が次の仕事だ。

TAKEAWAY

この事例から学べること

“共感される一本”から学ぶ3原則
  • 結果より「視点」で感情を動かす。勝敗ではなく「観客席が教えてくれたこと」のような切り口が、深い共感を生む
  • いいねと保存・フォローは別の行動。共感(いいね)が取れても、保存・拡散・フォローは別設計で取りにいく必要がある
  • 再生規模と共感の濃さは比例しない。再生が中位でも、いいね率=共感の濃さで全話トップになれる

〈証明〉が示したのは、SNSは「再生数」だけで評価してはいけないという事実だ。再生14,643回はシリーズ中位だが、いいね194は全話トップ級。視聴者の心をどれだけ動かせたかは、再生数とは別の指標に表れる。そしてその共感を、保存・拡散・フォローという“次の行動”まで運ぶことが、運用の次の腕の見せどころだ。

株式会社NARERUは、成果も課題も隠さず数字で読み、勝ち筋を次の設計図に変えていく。共感の濃い一本を、ただの“いいね”で終わらせない。それが、SNS運用の本当の仕事だ。レザルプの物語は、まだ続く。