秦アキラ
秦アキラ
株式会社NARERU 代表取締役

南信州・飯田市で生まれ育ち、地域の中小企業のAI活用・SNS運用・Web集客を支援。「地域の事業者を、テクノロジーでもっと自由に。」をミッションに、株式会社NARERUを経営しています。

生956回、コメント0、フォロー増0——正直に言えば、伸びなかった一本です。名古屋のコンディショニング施設「PRO-motion」のリール〈記録を伸ばしたいランナーへ 真下接地ができない原因 準備不足かも〉(2026年6月27日投稿・7月2日計測)。しかし視聴維持のデータを開くと、この一本は大切なことを教えてくれていました。フックを突破した人は、1分20秒時点でもまだ6%残っていた。そして、もし45秒に収めていたら残存は14%だった——株式会社NARERUが、うまくいかなかった一本を隠さず解剖します。

3行でわかる、この回のまとめ
🎯
狙い|ランナーが意識してもうまくできない「真下接地」に解決の道筋を示し、専門性を伝える。コメント誘導でエンゲージを獲得し、最終的に来店へつなげる。
📊
結果|再生956回・保存2・いいね17・コメント0・フォロー増0。スキップ率61.7%、完走率6%。
🔍
課題と次の一手|冒頭フック映像が弱く6割超が離脱。一方、突破した層は1分20秒時点でも6%が視聴を継続。45秒時点なら14%残っていた——次回から尺は多くとも45秒程度に。
秦アキラ
AUTHOR
秦 アキラ / 代表取締役・株式会社NARERU

BACKGROUND

「分かっているのにできない」に向き合った回

PRO-motionは名古屋で、痛みの改善と動ける体づくりに取り組むコンディショニング施設です。Instagramでは、実際のお客様の改善事例をもとにしたリールを株式会社NARERUと制作・発信しています。今回の一本のテーマは「真下接地」。ランニングフォームの定番ワードで、多くのランナーが「良いと分かっているのに、いざ走るとうまくできない」と感じているポイントです。

台本の軸は、実在するお客様の事例でした。真下接地を意識してもうまく再現できなかったランナーの方が、「真下接地する以前に、股関節でフォームを支える準備が足りていないのかもしれない」というPRO-motionの見立てのもと、順番を踏んだトレーニングでフォームを変えていった——という物語です。専門性を伝え、コメント誘導でエンゲージを獲得し、最終的に来店につなげる。狙いの設計は明確でした。それでも、数字は伸びませんでした。


HOOK DESIGN

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フックの設計 ― 話しながら動く、だけでは止まらなかった

冒頭は、担当トレーナーの片浦さんがカメラに向かって話しながら動く構成です。台本のフックは「”真下接地”が良いと分かってるのに、いざ走るとうまくできない。そんなランナーの方、ちょっと聞いてください」。言葉の設計としては、「分かっているのにできない」というランナーのあるあるを突く、悪くない一言です。

「”真下接地”が良いと分かってるのに、
いざ走るとうまくできない。」

真下接地専門ワードで絞る
分かってるのにできないランナーのあるある
話しながら動く動きで指を止める狙い

しかし結果は、スキップ率61.7%。6割強の人が、この冒頭で指を止めずにスワイプしていきました。言葉は刺さる設計でも、リールで最初に届くのは「画」です。トレーナーが話しながら動く、という映像だけでは、スクロールの中で目を引く強さが足りなかった——これが中村(NARERU・分析担当)の一次分析です。ただし、話はここで終わりません。フックを突破した人たちの動きに、この回の本当の発見がありました。


DATA ANALYSIS

数字を読む ― 956回再生の中身

再生数だけを見れば「伸びなかった一本」。しかし指標を分解すると、弱かった場所と、生きていた場所がはっきり分かれます。

956回
再生数(6/27投稿・7/2計測)
拡散には至らなかった数字。ただし敗因は「テーマ」ではなく、冒頭の映像と尺にあった。それを以下の指標が示している。
61.7%
スキップ率
6割強が冒頭で離脱。片浦さんが話しながら動く冒頭カットは、スクロールの指を止める「画の引き」として弱かった。
6%
完走率(1分20秒時点でも6%が視聴)
少数に見えるが、注目すべき数字。フックを突破した層は1分20秒という長尺でも離脱しきらず、最後まで残った。内容への期待は維持されていた。
2 / 17 / 0
保存 / いいね / コメント
コメント誘導を設計したがコメントは0、フォロー増も0。視聴者の絶対数が少なければ、エンゲージ設計は機能しようがない。まず入口の改善が先。

ポイントは、完走率6%という数字の読み方です。956回の再生に対して6%——絶対数は小さい。しかし「1分20秒の動画を最後まで見た人が6%いた」ことと、「45秒時点なら14%が残っていた」ことを並べると、この動画の問題は中身ではなく長さだったことが見えてきます。


COMPARISON

視聴維持を並べる ― 45秒と1分20秒の分かれ目

この一本の視聴維持データを時系列で並べます。冒頭・45秒・1分20秒。3つの地点の数字が、次回の設計図をそのまま描いてくれています。

視聴維持率の推移(PRO-motion〈真下接地〉リール/計測 7/2時点)
冒頭を突破 38.3%
45秒時点 14%
1分20秒時点 6%
完走 6%

※「冒頭を突破」はスキップ率61.7%からの逆算(100−61.7)。バーの長さは冒頭突破時点を100%とした相対比。最大の落差は冒頭(61.7%が離脱)、次の落差は45秒→1分20秒(14%→6%)。一方、1分20秒まで残った人はほぼそのまま完走している。つまり離脱は「入口」と「中盤の長さ」で起きており、終盤の中身では起きていない。


WHY

なぜ6%は残ったのか、なぜ14%を逃したのか

1つ目の発見は、「専門あるある×期待」は最後まで維持されたことです。「真下接地が良いと分かっているのにできない」は、初心者ランナーの”あるある”だった可能性が高い。だからフックを突破した層は、1分20秒という長尺でも6%が残り、そのまま完走まで到達しました。テーマ選定と、事例をもとにした中身の設計は、間違っていなかったと読めます。狭い専門ワードでも、「自分のことだ」と思った人はきちんと最後まで見る——これはPRO-motionの発信にとって重要な確認です。

2つ目の発見が、この回の核心です。尺が長すぎた。45秒時点の残存は14%。それが1分20秒時点では6%まで落ちています。つまり、内容に期待して残った人の半分以上を、「長さ」だけで失った計算になります。もしこの動画を45秒程度に収めていれば、倍以上の視聴者が最後まで見届け、終盤に置いたコメント誘導や来店への導線にも、その分多くの人が到達していたはずです。伸びなかった一本が、「多くとも45秒程度に収める」という次回からの明確な設計基準を、実データで示してくれました。


ISSUES

残った課題 ― 次の一本に持ち込む修正点

冒頭フック映像の弱さ。
スキップ率61.7%は、言葉が届く前に画で負けたことを意味する。トレーナーが話しながら動くだけでなく、フォームの映像や視覚的な引きなど、最初の1〜2秒で「何の話か」が画面から伝わる冒頭カットの設計が必要だ。
尺は多くとも45秒程度に。
45秒時点14%→1分20秒時点6%。伝えたいことが多くても、詰め込めば届く人が減る。台本の段階で「45秒で言い切れる範囲」に要素を絞り込むことを、次回からの標準にする。
エンゲージ導線が未稼働(コメント0・フォロー増0)。
コメント誘導そのものの巧拙を語る前に、終盤まで残る視聴者の絶対数を増やすことが先決。入口(フック映像)と長さ(45秒)を直したうえで、改めて導線の設計を検証する。

TAKEAWAY

この事例から学べること

“伸びなかった一本”が教えてくれた3原則
  • 専門の”あるある”はテーマとして機能する。真下接地という絞ったテーマでも、突破層は1分20秒時点で6%残存。刺さる人には深く刺さっていた
  • 尺は多くとも45秒程度。同じ内容でも、45秒なら14%・1分20秒なら6%。長さそのものが離脱の原因になる
  • フックは言葉より先に「画」。スキップ率61.7%が示す通り、冒頭の映像が弱ければ、どんな台本も届かない

再生956回という数字だけを見て「失敗」で片づけることは簡単です。しかし視聴維持のデータを開けば、この一本は「テーマは正しい・中身は届いている・入口と長さを直せばいい」という、次への具体的な設計図を残してくれていました。45秒時点で14%——この数字を知らずに次を作るのと、知って作るのとでは、まったく違う一本になります。

株式会社NARERUは、伸びた回だけを見せるのではなく、伸びなかった回も同じ精度で数字を読み、次の一本に反映していきます。うまくいかなかったデータこそ、クライアントの資産です。PRO-motionの発信は、この学びを積んで続きます。