バキッ、と壁が剥がれる——。南信州・豊丘村の工務店「HANDZ(ハンズ)」のリール〈密着リフォーム 2話〉は、職人が壁を破壊する解体シーンから始まる。このフックは強烈に効いた。破壊シーンが終わるまで、視聴維持は71%。だが計測時点の再生は689回、フォロー増は0。うまくいった数字も、いかなかった数字も、株式会社NARERUが運用する実データのまま解剖する。
「リフォームの流れ」を毎月見せる、密着シリーズという設計
HANDZは長野県・南信州(豊丘村)の工務店で、設計事務所も兼ね、「住まいのかかりつけ医」を掲げて飯田・下伊那エリアの家づくりとリフォームを手がけている。SNS運用は株式会社NARERUが担当している。
リフォームは、単価が高く検討期間の長い商材だ。1本の動画で「今すぐ問い合わせ」を取りにいくより、実際のお客様の現場に密着し、契約から完成までの工程を毎月見せていく——「頼んだら、こう進むのか」というイメージを視聴者の中に少しずつ蓄積する。それがこの密着シリーズの狙いだ。2026年6月24日に投稿された2話は、その工程のなかでも画になる「解体」の回。台本段階から、壁を開ける瞬間の最もインパクトのある映像を冒頭に置く設計だった。
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壁破壊のフックは、71%を引き留めた
冒頭0秒、職人の手で壁が剥がされていく。土埃、剥き出しになる下地——日常では絶対に見られない光景だ。この回のフックは、この「破壊」の視覚インパクトに全振りしている。
結果は数字に出た。冒頭のスキップ率は49%。ショート動画では半数近くが冒頭で流れていくのが現実だが、残った視聴者は、破壊シーンが終わるまで71%が画面に留まった。説明でもテロップの工夫でもなく、「動きのある非日常」そのものが指を止めた。フックとしては、はっきり成功と言える。
密着シリーズ第二回。
今日から、解体が始まりました。
- 「破壊」「変化」のような非日常の動きは、テロップの工夫より強く指を止める
- フックの成否は再生数ではなく、維持率(この回は破壊シーン終了まで71%)で測る
- ただし、フックが強くても完走は別の設計。掴んだあとの離脱対策が次の課題になる
数字を読む ― 689回再生の中身
投稿は2026年6月24日、計測は7月2日。再生数だけを見れば物足りない回だ。だが視聴の中身を分解すると、「どこまでは機能し、どこから失速したか」がはっきり見える。
整理するとこうだ。入口(フック)は勝ち、出口(完走)で負けた。そして出口で負けると、アルゴリズムは配信を広げてくれない。689回という再生数は、その帰結だと考えている。
視聴維持カーブ ― 71%はどこで4%になったのか
この回の視聴データを時系列で並べると、失速の位置が見えてくる。破壊シーン終了時点、CTA出現時点、完走。3つの計測点を並べた。
注目すべきはCTA出現時点の18%だ。30秒級のリールで、行動喚起の位置まで18%が残っているのは決して悪くない。問題はその後、完走までに4%へ落ちること。CTAの後ろに置いたのは、雰囲気づくりとしてのロゴパート。離脱の位置と重なっている。
この回が残したもの ― 実証と、ひとつの仮説
まず、実証されたことがある。「破壊」という非日常の動きは、地方の工務店アカウントでも強いフックになるということだ。破壊シーン終了まで71%という維持率は、フォロワーの多い有名アカウントの話ではなく、この現場のリアルな映像だけで出た数字だ。リフォーム密着シリーズは今後も解体・大工工事・完成と工程が続く。各話の冒頭に「その工程で一番動きのある瞬間」を置くという型は、そのまま再現できる。
そして、仮説がひとつ生まれた。終盤の「雰囲気としてのロゴ」が、完走率を削っているのではないか。CTA出現時点で18%残っていた視聴者が、完走では4%。視聴者にとって、ロゴは「もう本編は終わった」の合図になる。ブランドの世界観づくりとしては気持ちのいい締めでも、リールの伸びが完走率という重要ファクターに左右されることを考えると、ロゴはない方がいいかもしれない——これが、運用担当の分析から出た今回の学びだ。断定はしない。だからこそ、次の話で検証する価値がある。
残った課題 ― 掴んだ視聴を、最後まで運ぶ
CTA出現時点18%から完走4%への落差は、この回最大の改善余地だ。次話ではロゴを外す、あるいは本編の余韻と重ねて一瞬で終える形にして、完走率がどう変わるかを検証する。仮説は、検証して初めて資産になる。
保存1・コメント0・フォロー増0。工程を追う密着シリーズは、本来「次の工程を見届けたい」という保存・フォローの動機を作りやすい企画だ。次回予告の見せ方や保存の呼びかけ位置を、完走設計とセットで組み直す。
この事例から学べること
- フックは「動きと非日常」。壁破壊で維持71%。説明より、その工程で一番画になる瞬間を冒頭に置く
- 完走率が配信を決める。CTA後のロゴ1カットまで含めて、終盤の離脱要因を疑う
- 認知蓄積型シリーズは、型の検証を積む。1本の再生数で一喜一憂せず、各話で得た実証と仮説を次に渡す
再生689回・フォロー増0。正直、胸を張れる数字ではない。それでも公開するのは、この回が「壁破壊フックは効く」という実証と、「終盤のロゴが完走を削る」という検証可能な仮説を残したからだ。伸びた動画だけを見せるのは簡単だが、それでは運用は上達しない。
株式会社NARERUは、成果も課題も隠さず数字で読み、仮説を次の一本で検証していく。HANDZの密着リフォームは、次の工程へ続く。完成までの数字も、また正直にお見せする。