ふくらはぎの痛みに悩むランナーへ。「これができていない」と原因を一点に絞った一本。再生950回。ターゲットを絞る戦略の“光と影”が、この数字に表れている。
ニーズを絞る、というPRO-motionの基本戦略
PRO-motion(プロモーションコンディショニング)は、整体・コンディショニングを軸に、ランナーやスポーツ愛好家の身体の悩みに応える専門院。SNSでは「症状を特定したサムネ」でターゲットを絞り、悩みを持つ人にピンポイントで届ける情報提供型のフィード運用を行ってきた。
フルマラソン初心者の「ふくらはぎの痛み」という具体的な症状に絞り、イベント誘導を狙った回。狙いは一貫している。
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この1本は、誰に向けて作ったか
「ふくらはぎが痛い人、“コレ”ができていない」
「コレができていない」という断定は、原因を知りたくさせる良いフックだ。症状も明確。ニーズの絞り込みは前回同様、的確だった。
数字を読む
現場の言葉から読み解く
中村の一言が、SNS運用の本質的なトレードオフを言い当てている。「ニーズを絞ったので、多くにリーチしなかった」——絞り込みは諸刃の剣だ。絞るほど“該当者”には深く刺さるが、母数(リーチ)は構造的に減る。「30kmの壁」は誰もが知る共通体験だったから951回。「ふくらはぎが痛い人」は該当者が限られるから、刺さっても広がらない。絞るべきか広げるべきかは、「そのテーマが既存フォロワーの中に何人いるか」で判断する。絞り込みの精度ではなく、絞る“先”の選び方が問われる。
なぜ「絞ると刺さる、でも狭まる」が起きるのか
Instagramのフィードは、まず既存フォロワーや関連性の高い人へ配信され、保存・いいね・滞在といった初速の反応が良ければ、そこから関心の近い層へと配信が広がっていく仕組みだ。つまり最初に反応してくれる“該当者”の数が、その後どこまで伸びるかの土台になる。「ふくらはぎが痛い人、コレができていない」という投稿は、症状を一点に絞ったぶん刺さりは鋭いが、そもそも今まさにふくらはぎに悩んでいる該当者は、フォロワーの中でも限られる。初速を生む母数が小さければ、アルゴリズムが次の層へ広げる燃料も小さい。950回で頭打ちになったのは、内容の質ではなく、反応できる人数の上限に当たった結果だ。
対して「30kmの壁」は、走る人なら誰もが知る共通体験だった。だから該当者の母数が大きく、初速が出て、951回まで配信が広がった。ここから導かれる判断軸はシンプルで、絞り込みの精度を上げることではなく、絞る“先”の母数を見極めることだ。深く刺すテーマ(限定症状)は濃いファンづくりやイベント誘導に効き、広く届くテーマ(共通体験)は新規リーチと認知に効く。同じ「絞る」でも目的が違う。だからこの2本は優劣ではなく、役割の違いとして使い分けるべきものだ。
この事例から学べること
- 絞り込みとリーチはトレードオフ。深さと広さは両立しにくい
- 絞る基準は「既存フォロワーに該当者が多いか」
- 共通体験(誰もが知る悩み)はリーチを稼ぎ、限定症状は深く刺さる